message テーマ5 木と草花を楽しむ 草四 生垣の勧め | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
カイズカイブキやカシ類の新しい生垣を見かけることが少なくなりました。樹種にも流行りすたりがあり、今はやわらかい小葉のプリペットが全盛ですね。生垣はなんとなくやぼったくて今風でないと感じていますか。樹種の選び方によって、現代的な明るい感じにすることもできます。例えば、コニファーのレイランディなどをきつく刈り込まず、ひらひらとした葉のままで楽しんだり、ラティスと生垣を組み合わせるのはどうでしょう。お勧めは、生垣を少し控えて、道路側に下草や石で造園するスペースをとることです。境界沿いのスペースが必要ですが、センスのある生垣ができます。 生垣の樹種 一般的に生垣に向く樹種は、コニファー類、サザンカ、プリペット、ウバメガシやシラカシ、マサキ、カナメモチ、モクセイ類などでしょう。よく生垣に使われる樹種は生産量も多くて安価ですが、それらの一般的な樹種でなくても、常緑で萌芽力が強く、密度のある葉が茂るものなら何でもいいわけです。気候に合った樹種で、虫がつきにくく丈夫ならなおいいです。 あるところで珍しい生垣を見つけました。なんとイチョウの生垣です。さぞ新芽の頃や紅葉の頃はきれいでしょうね。このお宅のこだわりに脱帽でした。 生垣の手入れ 生垣をするスペースは、最低でも五〇センチ程度の奥行きが必要です。もちろん雨がかかるところです。剪定作業ができるスペースも必要ですね。年代物の厚みのあるカイズカイブキの生垣が、道路にはみ出していたことから、敷地境界線に沿って強く刈り込まれ、黒々とした内側の枝だけのようになっている光景を目にすることがあります。余裕のあるスペースに植えて、このラインでつくっていくと決めておかないと、悲しいことになってしまいます。 生垣用の苗木を植えてから数年は、密度が低くてみすぼらしい状態ですが、我慢して手入れをしましょう。成長力の旺盛なプリペットだと一年も経てば見違えるようになります。肥料をやって何度も刈り込みをします。木がかわいそうに思うのか、切ることが不安なのか、思い切った刈り込みができない人もありますが、刈り込むほどに新しい枝が出て密度が高くなるのです。若くて元気で萌芽力のある木なら大丈夫です。生垣の形を維持するときに大切なことは、下枝が枯れ上がってしまわないようにすることですから、とくに生垣の上部は思い切って刈り込んで下枝を出させます。込み合っている枝をシュロ縄などで、密度の低いところへ誘導してやるのもいいでしょう。 ところで、私の住んでいる街では、地区計画といって、行政が建物の外壁ラインや道路境界沿いの高い塀を規制して生垣を推奨し、良好な街並みをつくることが目指されています。みんなで街並みをつくっていこうという気運がもっと盛り上がってほしいものです。また、自治体によっては街の景観を良くするため、生垣助成金を出しているところがあるので役所に問い合わせてみてはいかがでしょう。 このメッセージは この本に掲載されています。
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