message テーマ3 深く突きつめて考える 考二 骨格と地模様 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
庭で何をしたいか 主庭のレイアウトを考えるときに、庭の骨格(メインスペース)となる部分をどうするか、ということをまず考えるでしょう。庭でどんな生活をするのか、どんな楽しみ方をするのか、ということですね。ある現代美術家のお宅に伺ったときに、庭(マンションのルーフバルコニーですが)にこれから制作する彫刻の模型を並べて打ち合わせをしたことがあります。庭を、彫刻を試作したり検討するためのアトリエとして使っておられるのですね。そのバルコニーにはテーブルとベンチがしつらえてあって、酒を飲みながら、ああでもないこうでもないとやるのです。庭の使い方として、ひとつの最高の例だと思います。農家では庭は収穫後の作業場であったりするし、お得意さまを呼ぶ屋外パーティ会場として常に利用されているお宅もあります。そういった場合には、それにふさわしいしつらえが必要です。 上の例のような特殊な場合を除いて、普通の個人住宅の庭での生活とはどういったことでしょう。ランチをしたい、花を育てたい、盆栽を育てたい、犬と遊びたい、子どもと遊びたい、絵を描きたい、バーベキューパーティをしたい、などなどですね。どんな「アウトドアライフ」をしたいのかということです。まず考えることは、庭に何をつくるのかではなくて、「何をするのか」です。「どう楽しみたいのか」です。実は、これは家の間取りを考えるときにもあてはまります。つまり和室やリビングといった「部屋の名前」ではなく、「何をするスペース」なのかということが大切なのですね。 骨格を決めてゾーニング あなたの庭での生活を充たす「中心となること」は何でしょうか。そしてそれを満足させるスペースは、広いテラスでしょうか、手すりのついたウッドデッキでしょうか、芝生の広場でしょうか、花壇でしょうか、ギャラリー的スペースでしょうか。それとも……。それは、あなたが抱いている庭のイメージの中心にあるもののはずですね。 庭の中のスペースにヒエラルキー(優先順位)をつけましょう。最も重要なものは何で、次に大切なものは何で、というように。その最も重要なものを庭の中心に配置します。庭の中心とはリビングの正面、あるいはリビングからよく見えて出て行きやすい位置です。例えば花を育てることの優先順位が高いのなら、ウッドデッキは少しずらしてでも、やはり花壇をリビングからよく見える正面にもってくるのが自然なことだと思います。 地模様の検討 庭づくりの本を見ると、地模様ということが書いてあります。いくつかのゾーニングの形をスケッチしたもののことですね。ゾーンの形を、平面的なパターンとして遊んでみましょう。直線的に描きますか。曲線を多用しますか。モンドリアン風? それともキースへリングやイサムノグチならどう描いただろうか、なんてね。 直線は洋風、曲線は和風という画一的で間違った発想は捨てましょう。使う素材とそれらのデザイン、そして組み合わせによって、和洋のテイストは表現されます。直線であっても、斜めの線を入れると雰囲気が一変しますし、エッジの処理の仕方、つまり境界線のつくり方でもまったく違う感じになります。市松模様など、和のパターンとして認識しているものもありますよね。平面だけではなくて高さ方向も含めたボリューム感も考慮して、ゾーンの形や大きさを、パターン遊びさながらにトライアンドエラーで検討します。 スタイルの絞り込み 地模様のパターン遊びの間に、頭の中ではそれぞれのゾーンのデザインもはっきりしつつあるでしょう。つまり単に位置と大きさだけでなく、形も思い描いているでしょう。さらに、使用材料さえ決まるところにまで思考が進んでいるかもしれません。そこまで想定できたらゾーニング図は完成です。考えたことを文字や絵として書き込んで固定します。 それから先の詳細検討は後の作業です。例えば、こういう雰囲気のウッドデッキをこの位置にこの大きさで、ということは決めたとしても、メーカー、色、ディティール(細かい部分の形)、附属品などは以後の検討のなかで、予算なども考慮しながら決めていくわけですね。ただ、場合によっては、使用材料が最初から決まっていることもあります。例えば、絶対にこれを使いたいと考えている特殊なデザインの大判タイルがある場合は、地模様の検討をするときにそのタイルが最も映えるようにデザインするのは当然のことです。 このメッセージは この本に掲載されています。
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