message 「庭づくりのポイント」編 … デッドエンド | |||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | |||||
ツクツクボウシが目の前の窓枠に止まって、おなかを振りながら鳴いています。まあ、それは、賑やかなこと。幸せな気分!! さて今回は、ちょっと骨の折れるお話です。 デッドエンド、つまり行き止まり、突き当りのこと。 家の前が広い野原で、簡単な柵をしてあるだけっておうちは、今回の話は関係ありません。都会では、目の前が裏のおうちであったり、視線を遮るための高い塀があったり、あるいは中庭ってこともありますよね。そんな庭では、目の前が突き当たりになっていますよね。 そんなとき、いかに空間的な広がりを持たせるかということについてお話します。庭を広く見せる方法というより、圧迫感を減らすためにということですね。 基本的にはデッドエンドを見せないこと。 もっと厳密に言えば、入り隅(入り角、いりずみ)を見せないこと。つまり、塀と塀との直行する角(内側の)の部分や、塀と地面の接点部分を見せないことです。こういうところは、そこがデッドエンドだということを強調するからです。庭はここまでです、ここがとどのつまりで、先はありませんよって。 で、そういう角を隠すように木を植えたりして、やわらかく隠すわけですね。誰もが無意識にそうしていることでしょう。つまり、パチンパチンと空間を仕切るのではなく、境界線をぼかして穏やかな空間を作ろうとしているわけですね。 そして今度は、空間が抜けていくところを強調します。つまり庭の空間が連続していっている方向を明らかにします。どんな庭でも、普通は、どこかに繋がっていますよね。室内から見るときには、庭はたいてい横方向に広がっています。あるいは塀の隙間から、街並みが見えるかもしれません。二坪ほどの極小の庭でも、少なくとも天空方向は開いていることでしょう。 そういった抜けている方向を意識させて、奥行き感のある景色を大事にするということです。 ひとつ例を挙げておきます。 例えば、奥行きの深い縦長の庭があって、最奥部に横に抜けていく通路があるとします。その通路の先をどう意識させるかです。これを意識させるようにデザインするのと、しないとでは、庭の広がり感、空間の連続感が違います。 さて、お立会い!!! ■ 今回はじめて、ちょっとしたイラストを書いてみました。(絵は描かない!!と言っていましたが、今回ばかりは言葉だけではあまりにわかりにくい、ということで禁を破りました。今回だけのイベントです) まず1,2,3、4の絵はいずれも同じ空間(広さも壁の高さも)です。木の大きさも同じです。どれが一番、空間的広がりが感じられますか。もちろん4ですね。1より2、2より3、3より4です。 1がなぜ空間的広がり感がないか。奥の「通路の存在」が木で隠されているからですね。では、なぜ2が通路の存在が良くわかるのでしょうか。左の建物の壁の端部(絵に矢印が出ています)がはっきり見えているからですね。その端部(エッジ)によって木が切り取られています。そのことによって、左の奥の方に空間が連続していることが認識できるわけです。 3は、通路のペイブメントを見せて、左方向にある見えない空間が、意味のある、行ってみるべき空間としてよりはっきりと強調されています。ペイブメントの前に背の高い草を植えて、左方向に空間が連続していることを示唆しているものを隠してしまってはいけないわけです。 4は、その左の隠された空間から日差しが入り、さらにその空間が広いところだという感じを与えています。 いかがでしたか。壁に囲まれた狭い空間(多くの庭はそうじゃないかな)を、さらに閉塞感のある空間にしないために、植物を植える位置に少し気をつけると、雰囲気が違うものになるでしょう。 |
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