message テーマ2 想像力をふくらませる 創二 小さな水景 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
憧れのセカンドライフ。山麓の別荘の庭に、もともとの豊かな植生が自生し、涌き水から流れ出たせせらぎが小さな水音をたてている……、これこそネイチャーガーデン。自然の流れの場合、あふれさせず涸れさせずコントロールする、つまり水をどう治めるかということに大変な試行錯誤と苦労があると思いますが、本当に憧れますね。 水景が庭の光景に奥行きや変化を与え、楽しみを増やすことはあえて説明するまでもないことです。光を反射し、水音を楽しみ、鳥やトンボを呼び、植生にも幅をもたせることができます。金魚やメダカを飼ったり、夏には涼しさを感じ、冬には氷が張ってうれしくなります。我が家の犬は池に張った氷を舐めて楽しんでいます。 そして庭のグレードもぐんと上がります。草花では関心を示さないお客さまでも、池にぽかりとスイレンが咲いていたり、その下にメダカが隠れていたりすると興味をもってもらえます。 池の意匠 小さな池で水景を楽しむことについてお話しします。池を在来工法で、つまり既製品を据え付けるのではなくコンクリートや石や防水シートでつくるのなら、手の込んだものから簡単なものまでお好み次第です。池の形も、あくまで自然風につくることも、プールのように幾何学的なデザインでつくることもできます。 意匠性は個人の好みですが、小さな池(例えば面積一平方メートルくらい)を自然仕立てでつくるのは難しいと思います。どんな形にするにしろ「自然」には見えないからです。ひょうたん型の小さなFRP製のものが、なんだか侘しいのはそのためです。形を中途半端に変形させず、円や正方形など、整形な方がまとまりやすいでしょう。むしろ大事なのは池の縁の仕上げ、つまり岸辺のつくり方です。丸い石を積んだように見せるもよし、角材で縁取りするもよし、草で覆い隠すもよしです。いっそ、井戸のようにつくると味があるかも(ちなみにFRP性の既製品にも円形や長方形など整形のものがあります)。 水景管理の留意点 池をつくる場合の最大の留意事項は水質の維持です。春になり水温が上がってくると藻が発生します。透明度がなくなり、緑色に濁った水溜りになります。せっかくメダカや金魚を入れていても、見えなければ楽しくないし、すぐに泥が溜まってしまいます。睡蓮鉢程度の水量なら、土を入れておけばバクテリアが発生してそれなりに水質を浄化してくれますが、それ以上の大きさになると、ろ過装置が必要です。専用の機器を購入しなくても、ろ材を詰めた容器に水を通して池に返すことができればいいわけですから、工夫して自作してみましょう。ポイントは目詰まりしにくいように大きめのろ材を使用すること、溜まった泥を容易に取り除くことができる構造にすること、オーバーフローを池に落とすことです。 次に防音対策。本人には心地良い水音も、他人の池の音ならうるさいと思います。ろ過した水を池に落とすときは、泡立つくらいにした方が水に溶ける酸素の量を増やせていいのですが、薄い膜状にして水を落とすなりして、水音を小さくする工夫が必要です。ポンプの運転音は水中ポンプならほとんど気になりません。 ボウフラ対策にはメダカ。まわりの樹木の薬剤散布は厳禁。メダカもろ過槽内のバクテリアも死んでしまいます。薬剤散布をするときには池をシートで覆うなどの配慮が必要です。 睡蓮鉢でミニ水景 池をつくるのはコストも管理もちょっと大変、という人は睡蓮鉢で水景をつくりましょう。我が家では池のほかに大中小三つの睡蓮鉢に、ショウブ、チャワンハス、ウォーターポピーを植えて楽しんでいます。もちろんそれぞれに小さな魚が入っています。玄関先などで、もう少し目線の高いものがふさわしいという場合は、焼き物の傘立ての利用はどうですか。水抜き穴は適当なもので埋めて、浮草を浮かべて。 このメッセージは この本に掲載されています。
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