message テーマ3 深く突きつめて考える 考六 庭を眺める視点と物の配置 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
空間ではなく眺めて楽しむものには、どんなものがあるでしょう。花、木、オブジェ、日曜大工でつくったベンチやラティスやテーブル、睡蓮鉢、景石、燈籠、子どもがつくった壷、池、盆栽、バスケットゴール、イルミネーションなど、いろいろですね。場合によっては愛車であったり、遠くに見える山並みや海ということもあるでしょう。そういったものをどう見せるか。 眺めていたいものをどのように配置していますか。ディスプレイというほど大げさに考えなくても、一番良い位置を探して、何度も配置換えを楽しんでおられることでしょう。まず考えたいことは、どこから眺めるのか、いつ眺めるのか、です。 いつ、どこから眺めるか あたり前のことのようですが、これが案外忘れられていますね。リビングから眺める、テラスから眺める、家の外の道から眺める(見せる)、主としてこれくらいでしょうか。道往く人に見てもらいたくてという庭は意図してそうしているのでよく考えられているのですが、最も大事なリビングからの眺めがないがしろにされているケースがあります。眺めるものを配置するとき、仮り置きしたものを、いろいろな位置から眺めてみてください。必ず家の中に入って、リビングのソファやダイニングの椅子に座って眺めてください。見えますか。意図したように見えますか。 庭を眺めるのは、昼間?夜? 昼間勤めに出ているのなら、朝はゆっくり見ている暇がなく、会社から帰ってから夜の庭を眺めるのではないですか。眺めたいものに照明はあたっていますか。灌木の陰などで暗くはなっていませんか。 ミスマッチを避ける 日光との関係はいいか、物と物との違和感はないか、色のバランスはいいか、素材感のバランスはどうか、ということも考えましょう。日陰が似合うカクレミノを日向に植えたり、仕立物の松の根元に大きなアヒルのオブジェを置いたり、黄色い壁の前に黄色い花の咲くレンギョウを植えたり、苔むした自然石の手水鉢にビニールホースで水を入れたり、していませんよね。 とはいうものの、ミスマッチかどうかという判断は難しいものです。普通は考えられないこと、タブーとされていることでも、妙にいいじゃないかということもよくあるからです。私は野草やコニファー中心のロックガーデンの一角に青い模様のある睡蓮鉢を置いて中にショウブを植えています。普通なら首をかしげる配置ですが、リビングからのビューはどうしてもそこがいいようなのです。で、置いてみると、なぜかしっくりいくようで気に入っています。いわゆる常識だけでは判断できないのです。 まわりとの関係 リビングから、庭越しに何が見えますか。山並みや海が見えたり、夜景が見えるといった場合は、それを借景として庭の景にとり入れておられるでしょう。でも街路樹や隣のお宅の木、あるいは遠くの街並みが見える場合でも、それらを庭の景に活かしましょう。きっと庭の景に奥行きが出てくるはずです。 眺めたいものを配置するときには、高さ方向も充分に活かしたいものです。プランターの高さに変化をつけて、ツルバラをアーチやラティスにからませて、というのがそれです。地面だけで庭を展開するより、高さ方向を上手に活かすと空間が広がります。庭を眺める視線の動きを誘発し、楽しさが増えます。キャンバスは、地面の上に置いてあるのではなく、見る人の目の前に立っているのです。 このメッセージは この本に掲載されています。
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