message テーマ5 木と草花を楽しむ 草十五 遮光でひと息 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
夏の暑い盛りにもかかわらず、庭に遮光しているお宅はほとんど見かけません。日本はもう亜熱帯気候だとも言われているのに、相変わらず太陽信仰なのですね。庭木の本を見てもバカのひとつ覚えみたいに、日あたりが重要だということばかり……。かわいい子どもたちをかんかん照りのなかで我慢させるより、おしゃれに遮光してひと息つかせてあげましょう。そうすれば枯らしてしまうことは少なくなるし、水やりもずいぶん楽になりますよ。 日の光を絶対視しない 日陰でも育つ植物のことは、みなさんよくご存知ですね。丁寧な園芸店ではそれぞれの花苗にそう書いてくれています。都市部では小さな宅地に家が建て込んでいて、一日中よく陽光があたる庭ばかりではないわけですから、日陰でも育つ植物への関心は高いですね。裏返して言うなら、植物には太陽の光が必要だということが強調されすぎているわけです。一年草でも、少々の日陰なら支障のないものも多いのに、日あたりの良いところに植えろと書いてあるものが多いのです。日陰に植えて問題があるとしても、少し徒長気味になったり花付きが少なくなるくらいのことです。 陽光のなかで花を楽しむ一年草や、たくましいハーブ、甘みを濃縮させたい果樹などは日光を欲しがる代表グループですが、一日中薄暗い日陰でさえなければ育つものも多いのです。例えば林の中に行ってごらんなさい。木洩れ日が落ちる程度のところでもたくさんの植物が成長していますよね。一日のうち数時間日の光があたるなら、余裕で育っています。 誰もが小学校の理科の時間に植物の光合成のことを学びました。試験にも絶対に出る項目です。まだやわらかい子どもの脳みそに、あまりに強調された形で日光の重要性が刷り込まれてしまったのですね。それに日本の夏はイギリスや北欧の太陽光とは比べものにならないほど強く、長時間あたっています。 植物の身になって 強烈な直射日光に焼かれ、水切れで息も絶え絶えになってぐったりしている植物と、ある程度の日陰でひと息ついている植物と、どちらが元気でしょうか。真夏の夕方頃、あなたの庭の植物はどのような様子ですか。植物にとって過酷な環境になっていませんか。地面に植えてあるものがくたっとしているようなら、鉢植えのものはさらに厳しいことでしょう。それにもし何かの都合で夕方の水やりが遅くなってしまったら……。 植物にとって日の光よりも水の方が大事です。水が切れると死にますが、直射日光があたらなくてもすぐに死ぬということはありません。それに、強すぎる光は葉焼けをおこします。まして大きな木の下で芽を出して育っていく幼木は、根がしっかりと張っておらず、強すぎる日の光はまだ苦手なのです。 遮光の仕方 夏の暑い間は遮光を考えましょう。せっかく日が照っているのにもったいないなんて考えは捨てましょう。鉢植えなら建物の北側や高木の下に移動できますが、地植えのものは遮光のためのシートで上部を覆います。寒冷紗という遮光シートが売られています。ヨシズでも構いません。 よくある黒いビニールのスカスカの寒冷紗は畑のようでいやだというなら、白いレースのカーテンのようなものも売られています。我が家では、遮光は毎年の夏の風物詩みたいなものです。白い寒冷紗をオーニングのようにさわやかに掛け渡します。 ポイントを二つ、三つ。遮光は早めに始めましょう。梅雨明け直前から九月上旬までが目安。寒冷紗は背丈よりも高い位置に広めに。低いと日常作業がしにくいし、雨で濡れると垂れてきます。庭のデザインのひとつとして工夫しましょう。使い古しのきれいな柄の薄手のカーテンでも代用できます。 このメッセージは この本に掲載されています。
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