message テーマ2 想像力をふくらませる 創四 スタイリッシュなセンス | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
インテリア スタイリッシュな庭といってもぴんとこないかもしれませんが、スタイリッシュなインテリアといえばなんとなく感じはわかりますよね。インテリアの今流行りのキーワードはどういったものでしょうか。 ゴージャスなものより、「シンプルな空間の中にお気に入りの家具を少しだけ置いて、ゆったりとした時間を過ごす」といったところでしょうか。真っ白な空間のこともありますし、アクセントカラーをうまく活かしたものもあります。建築家やデザイナーが設計した住宅では、光や影の演出に注力しているものも多いですね。「物」の豪華さや高価さを演出するのではなく、「空間」の質の豊かさをどうつくるかという主張です。スタイリッシュという言葉でひとつに括ってしまうのは乱暴ですが、ここではそうしておいてください。 エクステリア インテリアに対する言葉がエクステリアですが、エクステリアの方はスタイリッシュなものにはなかなかお目にかかれません。部屋の中のスカッとした雰囲気に比べて、庭にはなんと多くのものがあふれていることか。庭の空間を構成する要素という意味では緑と地面と空、そして場合によって水面や一部の壁面だけですが、これにさまざまなプランターやラティスやオーナメントや庭園灯や、果てはバードバスまで、多様で細々としたガーデングッズと言われるものが所狭しと並べられているのが実状ではないでしょうか。草花にしても、あれこれ取り合わせて大量に植えられて。 スタイリッシュな庭もインテリアと同じです。物を少なくして空間として見せる、そして日の光や影や空気の流れの変化によって豊かさを感じさせる、これに尽きます。 でも空間として見せるってどういうこと? これを考える前に、インテリアとの違いを整理しておきましょう。 まず、乱暴に言えば必要な機能がないこと。お好み次第でどうとでもなるということです。次に自然であること。風も吹くし雨も降るし雪も積もるわけです。通常は植物という生き物を利用すること。世話が必要ですし、成長とともに徐々に完成に近づく、逆に言えばいつまでたっても完成しないということです。 スタイリッシュな庭 スタイリッシュにつくるとは、ドライにつくるということです。植物が存在しても、それが圧倒的なボリュームで物体のように見えては困るわけです。「物の豪華さ」ではなくて「空間の豊かさ」を見せるわけですから。密度の高いグランドカバーを使って緑のマットという見せ方ならいいでしょう。数株だけというように、点景として見せるのもOKです。もちろん、できるだけ種類も少なくします。 オブジェは飾りません。何かを置くとしても、修飾的なデザインがなく素材感で見せるものを置きます。その場合、ガーデニング材料として売っているものではなく、建築的な材料を使うとうまくいくことが多いでしょう。 (ガーデニング材料はごてごてしたデザインのものが多いのはなぜ?) それから、これが重要ですが、背景をキチンとつくります。隣の家や電信柱や雑多なものを視界から隠します。必然的に高い壁をつくることになるかもしれません。繰り返しになりますが、スタイリッシュとは、空間をキチンと形づくり、その豊かさを表現したいわけですから、余計なものが目に入るときには高い塀で囲むことも致し方ありません。そうしないと散漫になって、単なる侘しい庭になってしまいます。 知的なセンス いかがですか。それでは格好つかないよ、という反応でしょうか。でも、洗練されたセンスが必要という意味では、スタイリッシュな庭づくりも楽しいと思いますし、「知的に」自然を感じることもできると思います。派手な花色のさまざまな園芸植物であふれかえっている庭よりも、センス良く選ばれた数株の植物があるだけのすっきりした空間の方が、感受性豊かな人は本物の自然を、風も太陽も感じることができるかもしれません。 大きな本屋の建築のコーナーで建築雑誌を覗いてみましょう。建築家がつくった個人住宅の庭。ガーデニング雑誌と違って、ちょっと刺激的だと思いますよ。 スタイリッシュな庭は、いつでも誰でも成功するわけではありません。しかし、センスには自信があるけれど庭の手入れをしている時間はないという人は考えてみてください。 中途半端にこってりした庭をつくって、それが徐々に荒れていくのを眺めるよりいいですよ。それって、坪庭のことじゃないのって? そう、現代的坪庭。 このメッセージは この本に掲載されています。
|
|
|||||||||||||||||||||||
メッセージインデックス 自分流に愉しむ気ままな庭づくり ホーム 庭づくりメッセージ&講座 気ままなミニ盆栽 気ままな庭(My Garden) ドロのこころだ(ブログ) 英国風景庭園ミステリー「水霊の巫女」 甘南備山逍遥 書籍紹介:自分流に愉しむ「気まま」な庭づくり プロフィール 清水計画室 |
||||||||||||||||||||||||