message テーマ5 木と草花を楽しむ 草十二 木は大きくしない | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
庭をつくり始めたときには、あれこれと思いつくまま、いろいろな木を植えてしまいます。園芸店で見つけたり、山から種を採ってきたり、友人から苗木や挿し穂をもらったりして。それらの木が、毎年少しずつ成長していくのがうれしくて、ますます新しいものを植えてしまいます。でもいつかなんとかしなくてはならないときが来ますよね。 最初はいいけれど 大きくなる木も、場所をとる潅木も最初は細くて小さな苗木です。適当に庭のあちこちに植えておいてもなんら問題はありません。上手に草花と組み合わせて楽しみましょう。でも、手遅れにならないうちに配置換えをしないと大変なことになります。わかりきったことを言うなって? そう、誰もがわかっているのです。でも、まわりの古くからあるお宅の庭を見てごらんなさい。なんであんなところにあんな大木が植わって(というより生えて)いるのかって疑問に思う庭が。リビングの前に影をつくってしまっている大きなスギの木、立派な門被りのマツの木よりも大きく茂ってしまったカイドウ、伸び放題の笹に埋もれてしまったクチナシ、近すぎてツツジに負けてしまったゴールドクレスト。つまり、常緑の木が大きな影をつくってしまったとか、主役より脇役が大きくなりすぎたとか、ほかの木がじゃまで良い方向に枝を伸ばせなくなったとか、ほかの木の陰で大切な下枝が枯れてきたとか、そういう庭です。 植えるときは楽しんでいる時期だからいいのですが、そろそろ庭づくりにも飽きてきた頃に、かつて思いつきで植えて楽しんだそれらの木が大きくなってくるのです。もう移植しないといけない、と思ってはいても怠惰心が……。そうこうしているうちに充分に根が張った木は急成長します。そしていつしか素人の手には負えなくなってしまいます。 大切な剪定 生垣はもちろんのこと庭の木は剪定が絶対に必要です。ですが年齢とともに、あるいは庭づくり趣味の減退とともに、できなくなります。木が大きくなる前に、そのことも念頭において再配置あるいは大胆な剪定を考えましょう。 庭の木は大きく育てることが目的ではありません。世話を焼いて、見て楽しむことが目的です。いい形を維持することが大切なのです。その木の、あるいは庭全体のプロポーションを考えて、枝を伸ばす方向、伸びを止める位置を決めます。また、混みすぎた枝や形の悪い枝を落としてさっぱりさせ、風を通しやすくします。それが木の健康につながり、枝の様子をよく見ることで木の状態の管理にもなります。ところが、木がかわいそうと思うのか、デザインセンスがないのか、思い切って枝を切ることのできない人は案外多いのです。環境に適合していて土の状態や水やりや施肥が適切であれば、よほど乱暴な切り方をしない限り枯れることはありません。盆栽はあんなに小さな鉢の中で、相当な剪定をされても活き活きと生きていますよ。ひと鉢でも盆栽を育ててごらんなさい。 鉢植えのメリット 常緑樹のクスやスギなど、大きくすると将来困る木は、最初から鉢植えで育てるのがいいでしょう。あるいは地面で楽しんでいた木を、大きくなりすぎる前に鉢上げしましょう。どこにあってもさまにならないかもという木、例えば食したビワの種を子どもが蒔いたものなど、切るに切れないものは鉢植えがいいと思います。掘りとって鉢植えにしたときには、根を切ると同時に枝も切ります。地下の根と地上の枝はバランスがとれているものですから、思い切って枝を落とします。新しく形をつくっていくという気持ちでやりましょう。 鉢植えの木の大きさは鉢の大きさで決まります。鉢の中に根がまわって成長が止まるからです。鉢の大きさで木の大きさをコントロールできるというわけです。鉢植えでも立派にリンゴもなるしブドウもイチジクもなります。それに鉢植えなら庭の衣替えができます。見頃になってから良い位置に持ってくることもできます。ただし鉢植えは何年かごとに植え替えが必要です。ですから、あまり欲張った大きな鉢に植えてしまうと、植え替えが大変です。 このメッセージは この本に掲載されています。
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