message テーマ4 自分流に日々を楽しむ 楽十四 スクリーン | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
圧迫感のある塀 敷地いっぱいに高い塀を立てるのではなく、道路と50センチくらいの隙間をあけて(セットバックさせて)そこに緑を、ユキヤナギやサツキを植えた塀は、小さな敷地を目いっぱい効率的に使いたいという気持ちを抑えていて、好感がもてます。 街に緑があふれ出し、住む人の心のゆとりが感じられます。高さ1.5メートルを超えるような塀も、セットバックさせていると、圧迫感がずいぶん和らぎます。道路や街並みは個人のものではなく、みんなでつくるもの。道路から見た圧迫感はできるだけ軽減したいものです。 塀の素材 むき出しのブロック塀はいただけませんが、それではリブ付きブロックで、といっても同じことです。 何千万円もかけて家を建てて、なぜリブ付きブロック? お金が足りませんでした、と白状しているように見えますし、私は街並みなんかに関心はありません、と表明しているようにも感じます(ちょっと言いすぎかな)。 コンクリート打ち放しの高い塀。打ち放しそのものはとても建築的で美しいものです。しかし建て込んだ住宅街では、素材としての印象がとても硬いですから、排他的に感じます。 板塀はオールドファッションではありません。このごろのナチュラル志向で人気上昇中です。これに対して、タイルを吹き付けの塀に貼り付けたものをよく見かけますが、よほどいいデザインにしないと、お金をかけたわりに、時間が経つと最もオールドファッションに見えてしまいます。 さて、背の高い塀にしたいとき、ガラスの塀はどうですか。とんでもなく費用がかかりますが、強化ガラスの塀はとても美しいものです。曇りガラスでも、道路側の圧迫感や、庭の閉塞感はありません。とても建築的で、あらゆる建物のデザインや庭のデザインにマッチすると思います。夜には庭の明かりが幻想的に道路側から見えます。 穴あきレンガブロックはどうですか。流行の兆しがあります。これはデザイン的に、どこにでも使えるというわけにはいきませんが、赤いものではなくクリーム色のものなら、比較的応用がきくと思います。また、きめの粗いものは、水を吸い込みます。つまり調湿効果があります。土塀と同じですね。夏の暑い日、この塀に打ち水をすると、水分が蒸発していくことで塀のまわりの温度が少し下がるかもしれません。 組み合わせて 塀を、塀として見せるなら、それなりのデザインゴコロが必要です。一枚の「面」として見せるのなら、素材感が重要。コンクリート打ち放しやガラスや板塀が格好よいのは、芯までその材料でできているというように素材感が明快だからです。レンガ貼りや石貼りがいまいちなのは、こってり貼り付けた感じがするからです。 一枚の「面」として見せず、複数の素材の塀を組み合わせる場合のポイントは、奥行きをもたせることです。つまり、一枚の面で塀を継ぎ足していくのではなく、前後にゆとりをもたせることです。例えば、最前列にコンクリート打ち放しの塀が数メートルの隙間をあけて連続し、その隙間の奥にガラスの塀があるというように。あるいは、先にお話ししたように、足元数十センチは石垣、その奥に50センチ控えて穴あきレンガの塀、その間にグランドカバーを植えて、というように。こうして奥行きをもたせると、塀の素材それぞれの存在感が強調されますし、空間的な豊かさも生まれます。 そもそも塀とは ところで、そもそも塀とは何でしょう。「壁が立ちふさがって」というように、ものを防ぐものは「壁」です。人や砂や風や猪や視線を遮る壁。空間と空間を仕切るものも壁。「壁で仕切る」と言いますが「塀で仕切る」とは言いません。 つまり、「塀」とは、囲うものです。敷地を囲うものが塀ということです。設置する目的が視線を遮ることなら、「塀」でなく「壁」を考えればいいのです。壁ですから連続している必要はありません。どこから何を覗かれたくないのかということを厳密に計算すればいいのです。我が家の風呂の大きな窓は道路に面していますが、覗かれないように壁を設け、人も通れる隙間だらけなのにどこからも覗かれることはありません。 スクリーンの挿入 また、視線を遮るだけが目的なら、その「壁」は薄くて軽い印象のものでいいわけです。曇りガラスのスクリーンや乳白色のアクリル板のスクリーン。これらのものなら、目線は通らないけれども空間は、何かつながっているように感じませんか。 つまり、「敷地を囲う塀」が必要なことはそれほど多くはなく、実は壁を考えていることが多いということ。他人が入り込むのを防ぐ壁、プライバシーを守る壁。 そして、目線を遮るだけなら、できるだけさわやかに軽く遮りたいと思いませんか。庭に、薄くて軽い、目線は遮るが光を通すスクリーンを挿入するということです。ガラスでもアクリルでも、もちろん生垣でも穴あきレンガでもいいですね。 このメッセージは この本に掲載されています。
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