message テーマ5 木と草花を楽しむ 草二 宿根草とロックガーデン | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
宿根草の良さ ガーデニングブームになる前には、宿根草という言葉を知っている人は専門家だけでしたが、今では庭づくりをしている人なら誰でも知っていますね。ここでは多年草や球根植物、木本も含めて、毎年植え替える必要のない下草を「宿根草」と呼んでおきます。 宿根草の良さは今さら説明の必要もありませんが、なんといっても毎年植え替える必要がないことが最大の利点です。値段の高い花苗を毎年大量に植え替える手間と費用はばかになりませんし、かといって種蒔きから始めるのも面倒、という人には宿根草が強い味方です。庭に手間をかけたくてもかけられない人や、物理的に時間がないといった人も宿根草の庭を楽しみましょう。 でも、手間や費用を惜しむ人向けというピンチヒッター的な見方は間違いです。すなわち、季節の変化を感じられる点、うまくいけばどんどん増えていく点、そしてなんといっても毎年その季節になるとちゃんと顔を出してくれるうれしさを味わえる点。少し大げさにいえば、自然の神秘を感じられる点とでも言えるでしょうか。そういった良さがあるわけですね。その一方で、難点は、あでやかさに欠ける点。花の咲く時期以外は目立たない野の草の風情だということです。でも、それが良いというファンもたくさんいますし、枯れた姿さえ野趣があって好きだという人もいます。 好みのロックガーデン 宿根草中心の庭はロックガーデンがお勧めです。ロックガーデンといっても、雑誌で紹介されているような珍しい高山植物を植え込んだ庭のことではありません。近くの山道を歩いていて普通に見かける、岩がごろごろしたところを想像してください。そこは、岩が転げ落ちるほどのところですから少し急な斜面で、岩が見え隠れする程度に野草が茂っています。その景色を庭につくろうというわけです。 植える草花はお好みです。例えばアジサイをメインにフッキソウやヤブラン、フユイチゴなどを植えた湿った地面のイメージ。コクマザサをメインにしてドウダンツツジなどを入れた明るい丘のような雰囲気。アヤメやシランをメインにしてクチナシをポイントにした大人びた雰囲気。セダムとローズマリーをメインにして横に広がるコニファーを加えた日あたりの良さを意識した景色。クサソテツを中心にしたエキゾチックな雰囲気、などなど。 ロックガーデンの利点 ロックガーデンにする利点は、宿根草の“さが”である、花が咲いていない長く寂しい期間を岩で見せることにあります。むしろこの庭は、花を見せるのではなくて、「岩園」の景色として見せるわけです。もうひとつの利点は、岩によってそれらの草花の生育エリアが限定されて、野放図に混在することが防げる点です。もうひとつ、平面的な花壇だとひと株だけ植えてもさまになりませんが、ロックガーデンなら、小さな岩の隙間にひとつだけつつましく植えて大切に可愛がるということもできます。 岩の入手法 まず、造園業者から軽石を購入します。大きいもので二〜三千円くらい。これを数十個。あるいは石を近くの山に採りに行きましょう。いろいろな色や形のものを持って帰れますが、重労働を覚悟しないといけません。人力では、岩というより大きめの石という程度のものしか持てません。それに、自然保護の観点から、川の石やその場所になじんでいるものを持って帰るのはマナー違反ですし、そもそも石を採ることが禁止されているところもあります。従って、山の斜面から道路に転がり出ているものを拾うのがお手軽です。そこでは角のとれた丸みのあるものはほとんど手に入りません。角のあるものは造園では通常は使いませんが、ものは考えようで、ワイルドでいいじゃないかと思えばいいのです。 宿根草と自分で採ってきた石でロックガーデンをつくろうとすると、それなりに見えるようになるまで最低でも数シーズンはかかるでしょう。毎年、冬から春にかけての変化はなんとも楽しいものです。それに、いったんできあがるとほとんど手間いらずです。 このメッセージは この本に掲載されています。
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