message テーマ4 自分流に日々を楽しむ 楽十一 鉢合わせ | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
鉢と植物のバランスを考えましょう。サイズはもちろんのこと、素材、形やデザイン、色合いなどによって植物が引き立ったり埋没したりします。その植物に合った鉢に植えるのと、そうでないのとではずいぶん印象が違って見えます。とりあえず庭に転がっている鉢に植えて、それっきりということのないように。無頓着ではいけませんね。 テラコッタと仕立鉢 どこの庭にでもある素焼きの鉢、テラコッタ。この鉢の良さは通気性です。鉢の中の土が過湿になると根が呼吸できなくなり腐っていきますが、この鉢は根が強く張り、丈夫な植物を育てるときに好都合です。釉薬のかかった鉢でも、赤玉土などを主体にした水の抜けやすい土であれば問題はありませんが、何年も植え替えせずにいると土の粒が壊れてきて目詰まりを起こします。素焼きの鉢でもそれは同じことなのですが、少々土が悪くても余分な水分が鉢の表面から抜けていきやすいわけです。 子どもの頃に朝顔の観察をした安い素焼きの鉢は盆栽用語では仕立鉢と呼ばれますが、言葉通り植物を仕立てる段階で植えておく鉢、つまり見頃になるまでの間、丈夫に育てるための鉢です。同様にプラスチックの鉢も、飾る鉢としてはみすぼらしいですね。価格が安くて軽くて割れない利点はありますが、やはりとりあえず入れておくという程度の鉢です。これに対して釉薬を塗った飾れる鉢を化粧鉢と言います。玄関先で飾るのなら必ず化粧鉢に入れたいものですね。 鉢植え作品 四角い鉢は丸い鉢に比べて硬い印象があります。やわらかい草花を植えるには、やはり丸鉢の方が合うでしょう。盆栽でも、いかついクロマツは四角い鉢に植えますし、花物のウメは丸い鉢に植えます(必ずということではありません)。鉢の深さによる印象の違いはどうでしょう。少々手抜きでも丈夫に育てたいなら深さが必要ですが、鉢は広くて浅い方が格好良いものです。より深いもの、例えば傘立てのようなプロポーションのものには、枝垂れるものやつる性のものを植えます。あるいはモヒカン刈りのように、カワラナデシコなどを植えるのも楽しいものです。 鉢のプロポーションや大きさと植物のバランスを考慮して組み合わせましょうということです。テキトーな鉢に植えた花がいくらきれいに咲いても、単なる「鉢植え」ですが、鉢と植物のコンビネーションが考えられたものは、全体としてひとつの「作品」です。安定感があるか、ボリューム的に鉢が勝ちすぎていないか、花色を鉢の色が消していないか、鉢の柄がうるさくないか、植物が伸びていく方向に空間的余裕があるか、植物の個性ある姿形が消されていないかといったことですね。 多くの鉢は、強度を保つために口のまわりが分厚くなっていますが、印象としてはオールドファッションですね。安物のプラスチックの鉢がひと目でそれとわかるのは、あの縁取りがあるからです。縁取りがない方が洗練されたデザインだと感じます。 鉢を並べる 鉢合わせ、つまり主である植物に鉢を合わせてという話をしてきましたが、これはひとつずつ作品として観賞するときのことです。玄関先などにずらっと並べて楽しむときには、全体のバランスも考慮する必要があります。手っとり早いのは、鉢が行列しているようにディスプレイしてしまうことです。このときの鉢は見慣れた形や普通の大きさのものではなく、存在感のある鉢を、例えば大きめの筒状のものを十個も整列させると壮観です。そこまでしない場合でも、色も素材も同じだけれども寸法の違う鉢を並べるなど、散漫にならない工夫をしましょう。つまり、鉢の並んだ空間をデザインするという感覚です。 しかし玄関先でのディスプレイは、今が見頃というものだけを少数飾りつける感覚がいいですね。鉢はあちこちに動かせるのが利点ですから。育てている人にとっては、花が終わりかけた草花もいとおしいものですが、ここは表舞台から降ろして静かなところで余生を送らせましょう。 このメッセージは この本に掲載されています。
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