message テーマ3 深く突きつめて考える 考八 パースペクティブ | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
マンションのチラシに建物の完成予想図なる絵が掲載されていますが、これは遠近透視画法という方法で描かれています。立体的に見えるでしょう。小さく見えるものは遠くにあると思い、大きく見えるものは近くにあると思う人間の視覚に訴える画法です。遠近透視画法は、平面である紙の上に空間的な広がりや奥行きを表現するための手法で、西洋絵画において発達しました。英語ではパースペクティブと言い、日本ではこれを略してパースと言っています。建築パースといえば、先ほどのマンションの完成予想図みたいな絵のことを指します。物体の延長線を想像上の点で結ぶ「消失点」の数によって一点透視法、二点透視法などの種類があります。 遠近感の錯覚 庭を広く見せるには、手前に比較的大きな葉っぱのものを植え、向こうに葉っぱの小さいものを植えるとよい、なんてことはもうご存知ですよね。小さく見えるものは遠く見えるということをそのまま実践しているわけです。「遠くのものは小さく見える」ではないですよ。「小さいものは遠くにあると認識する」人の感覚を活かすということです。 怪獣映画の特撮を思い浮かべてみてください。ミニチュアの街をつくり、その中を怪獣の着ぐるみが緩慢な動作でのし歩きます。すると人の目は見慣れた建物の小ささから、遠くからその光景を見ていると錯覚します。それと同じことですね。 パースをきかせる 「パースがきいている」という言い方がありますが、これは「奥行き感」が強調されているということです。例えば、幅より奥行きがある細長い空間で、さらに奥行きを強調したいときのことを考えてみましょう。 その空間の両側に塀があるとします。写真を撮ると、塀の下の線(地面との接線)と塀の天端(テンバと読みます、上端部のことです)の線は、奥にいくほど近づいていますね。平面画像上で見ればということです。パースペクティブのおかげで、その線が近づく、つまり塀が低く見える位置ほど遠くにあるように見えます。だから、奥行きのある庭だと認識できるわけです。 ということは、もっと奥行きがあるように見せるには、塀の上端と下端の線をもう少し近づけてやればいいわけです。つまり、奥に行くに従って塀を意図的にほんの少し低くします。すると、向こうの端がより遠くに見えることになります。 例えば玄関までのアプローチ。ペイブメントの幅を奥に行くに従って、ほんの少し小さくすることによって、より距離があるかのように見せることができます。ただし、このテクニックは最初から充分な奥行きがないと使えません。それに、この方向だけから見るということが決まっている場合に使える方法です。いわば錯覚を使った騙しですね。見破られない程度に、ごくわずかに細工するわけです。 このメッセージは この本に掲載されています。
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