message テーマ3 深く突きつめて考える 考七 庭の入口 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
庭への出口ではなくて入り口。庭も家の中のひとつのスペースだとすれば、出るというより入るという方が自然でしょう、という理屈です。 庭への入り口はどこにあるでしょうか。一般的には玄関、キッチン、リビング、和室、洗面室、洗濯室といったところ。主寝室やガレージや風呂や廊下にあるかもしれません。それぞれの入り口に、ふさわしいしつらえがしてあるでしょうか。 勝手口とサービスヤード キッチンや洗面室、洗濯室から庭に入る勝手口に必要なものは何でしょう。 家を設計するとき、建物の中と同じように庭との接点部分の重要性も考えられているでしょうか。玄関はよく考えて収納はどうしたいとかいろいろと注文を出しているのに、勝手口はあまり考えられていません。洗濯物を干したり、外部収納やゴミ箱があるなら、玄関よりも勝手口からの出入りの方が多いかもしれないのに。 履物はどこに置いていますか。雨がかからないように庇はありますか。夜、ゴミを出したりするときに、手暗がりになっていませんか。勝手口から出たサービスヤードは使いやすくなっていますか。水栓やコンセントはありますか。雑巾や靴や傘を干したり、野菜を置いておいたりできる広さがありますか。濡れても汚れない仕上げの床になっていますか。 外部に置いておきたいものはたくさんありますよね。大きな物置を置く予定があるのなら、家の中から、道路から、その物置が丸見えということはないですか。 (それにしてもあのスチールの物置のデザイン、もうちょっと何とかならないものですかねえ) このあたりのことは住み始めてから考える、ということも多いようです。でもほとんどの場合、結果は情けない状況になっているのではないでしょうか。 せっかくの新築のきれいな家の側面に、波板で囲った小屋のある家のなんと多いことか。悲しすぎます。建築を設計するときに、ここまでは建築側でつくり、ここからは外構でつくる、あるいは造園でつくるということを充分考えて決めておきたいものです。 蛇足ですが、サービスヤードから玄関口や庭への移動はスムースですか。ゴミ箱は勝手口のところにあるのに、ゴミ袋を捨てに行くにはいったん家の中に入って玄関から出て、という例も実際にあるのです。家の中だけを見たプランニングしかしていないと、あるいは建物と庭との接点部分の検討を後まわしにしていると、不細工なことになりがちです。 リビングからの入り口 庭の楽しみということではリビングからの入り口が最重要ですが、やはりしつらえが必要です。ここも住み始めてから造園で何とかするということが多いようですが、せめて、入り口や庭を照らす演出的な照明(当然スイッチは家の中にあるべき)と、電動工具を使ったり電気コンロを持ち出すときのコンセントと、手を洗う水栓は最初から考えておきましょう。後付けするとぴったりのところに取り付けられなかったり、電線を通す配管が露出になったりします。 庇もある方がいいでしょう。ただ、パーゴラなどを造園としてつくる予定があるのなら、庇の位置や高さやデザインをあらかじめ考えておきましょう。 玄関のない家 話は変わりますが、玄関のない家というのも考え方としてはあります。 もともと昔のお屋敷では、玄関は客を通す入り口で、家人は縁側や勝手口などから出入りしていました。普段は、親しい客なら庭にまわって座敷(今で言うリビングかな)から上がったりしていました。 これこそオープンスタイル。格式ばった玄関からではなく、どうぞいつでもウェルカムという感じですね。 玄関とは別に土間からの入り口があって、そこから座敷や台所や茶の間に出入りするという家もありました。心の中で、そういう生活スタイルに憧れがある人もいるでしょうね。もはやノスタルジーでしょうか。しかし今でも、普段リビングから出入りして玄関が使われないために、いつの間にか玄関がまるで納戸のようになってしまったり、玄関ホールが「犬部屋」になってしまっている家もありますよね。なんだか、考え込んでしまいますね。 このメッセージは この本に掲載されています。
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