message テーマ5 木と草花を楽しむ 草十一 水やりの失敗 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
水やりが重要なのは、剪定や施肥や薬散と違って、失敗するとたちまち植物を弱らせ枯らしてしまうからです。ところが難しいのは、風あたりや日あたり、土の保水力、植物の性質、鉢の性質や大きさ、あるいは季節やそのときの植物の状態によって水やりのタイミングが違うからです。 水のやりすぎは禁物 植物が好きな人は水やりを忘れるという失敗はないでしょう。失敗するのはむしろ水のやりすぎ。土が乾いてもいないのに、どんどん水をやるとそのうち根が腐ってしまいます。根が常に水に浸かったような状態になるからです。 例えばプラスチックの鉢は、鉢の表面から水分を蒸発させませんので、鉢の中の水分はなかなか乾きません。土の表面は乾いたように見えていても、土中はじっとりと湿っています。また、水分を欲しがらない植物もあります。例えばおなじみのマツバギクやセダム。これらとビオラを寄せ植えしていたらどうなるでしょう。ビオラへの水やり量を中心に考えていると、マツバギクには水が多すぎてひょろひょろになって腐ってしまうでしょう。いつもたっぷり水分を欲しがる植物には何も考えずにどんどんやればいいのです。ですから乾いたところが好きな植物より、水分を欲しがるものの方が育てやすいわけです。 根を張らせる 庭木はどうでしょう。植えて一年間くらいは注意して水やりをしますが、これはまだ根が張っていないから助けてやるためです。でも、土中に根が張りだしたら(活着するといいます)、できるだけ水やりは少なめにします。いつも身近に水分があると、植物は根を張ろうとしません。生き物は基本的にずぼらなのです。甘やかしてはいけないわけです。木は、生きるために水分を求めて広く深く根を張っていきます。根を大きく張らせることができてこそ、健康で美しい庭木になるわけです。水やりはできるだけ控えめが肝心です。 控えめといっても、少しの量の水をやるということではありません。水やりの回数を減らして、やるときは充分にやるのです。環境によっても違うでしょうが、我が家の庭では年間通して夏場に数回程度です。 失敗のあれこれ しかし、今日は雨が降ったから水やりはしない、というのは失敗の元です。雨量はどれくらいですか。とくに夕立は大量に降ったように見えても、たかがしれています。例えば降水量五ミリだとしたらごくわずかですよね。考えてみてください。表面に五ミリの厚さで降っただけですよ。とても中まで浸み込んでいませんね。ジョウロでやる量に比べて、降った雨の量はとてもわずかなものなのです。その日、もともと水やりをしようと考えていたのなら、たとえ夕立がきたとしても、追いかけるように水やりをしましょう。 夏に枯らしてしまう失敗と同様に冬の間の失敗も多いものです。冬は植物は成長しませんから、水をほとんど必要としません。でも、冬は空気が乾燥し、風も強いのです。鉢植えが乾ききるのは禁物です。もちろんやりすぎも禁物です。 よく言われる「土の表面が乾いたらやる」というのは、少々乱暴な言い方です。同じように表面が乾いていても、プラスチックの鉢とテラコッタの鉢では土の中の様子が違います。土の性質によっても違います。土を触ってみてください。少しほじくってみてください。表面が乾いていても中は湿っていることがあるでしょう。 最も確かなのは植物の状態を見ることです。乾いてくると、すぐにぐったりしてしまうものもあるし、少しはもちこたえるものもあります。まずは、そういう兆候が見えるまで、つまり植物が「水が欲しい!」と訴えるまで水やりは我慢します。毎日植物の様子を見ながら水やりをしていると、表面の状態と、土の中の状態と、植物の様子の関連性がわかってきます。そうすれば土の表面がどういう状態になったら水やりするかというコツがつかめます。機械的な水やりは卒業しましょう。そんな面倒なと言わずに意識してみてください。 最後に木の花付きについてひと言。花芽を用意するとき(タイミングは植物によって違います)に乾きすぎると翌年の花付きがよくないことがあります。今年は花があまり咲かなかったなあ、というときには前の年に乾かしすぎたのではありませんか。 このメッセージは この本に掲載されています。
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