message  テーマ3 深く突きつめて考える    考十五 業者の見積もり
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集


 工事の契約金額とは、発注者(あなた)が求めたものを業者が提供したときに支払う、それに「見合った報酬金額」のことですが、業者の見積書に対する発注者の反応はさまざま。より詳しい明細を要求する人、総額しか問題にしない人。業者の方も、最初から細かい内訳を明らかにしているところがある一方で、一式いくらという見積書しか出さないところもあります。

 発注者が少しでも安く工事の発注をしたいと思うことに、私にも異存はありません。でも庭園工事は、楽しみの下ごしらえの工事、つまり完成品ではない、ということを考慮しておきたいと思うのです。



パーツを買っても…

 例えば新車を購入するときに、エンジンの価格、ドアパネルの価格、組み立て費、営業マンの人件費、広告費、会社の経費がいくら、なんて聞く人はいませんよね。エンジンのない車は商品の価値がないので、部品をバラバラにした見積書には意味がないからですね。でも庭の場合は、景石はいくら、高木は、門柱は、下草一式は、といった見積書をもらいます。庭の場合は足したり、引いたりするからですね。

 でも、工事費は「物」の値段の積み重ねだけで決まるのではないのです。どこに工事を頼むか決めるとき、さまざまな専門家としての提案やデザインや設計、コンサルティングや後々のアドバイス、枯れたときの補償も含めて、みなさんの庭づくりの楽しみにどれだけ協力してくれるかということも大切だと思いませんか。本来、そういったソフトの部分も含めて業者を評価し、対価としての報酬を支払うのではないでしょうか。しかし、それらの技術料的な項目を見積もりに載せていない会社もあります。たちまち値切られるのがおちですからね。しかし実際は、いろいろな項目に含まれているわけです。ごまかすために隠しているわけではなく、そうしないと対価をもらえないからです。おかしいと思いませんか。



満足感と工事金額

 ひとつひとつの値段の妥当性と同時に、さまざまなアドバイスやデザインセンスなども含めて、合計金額として納得できるかどうかという見方をすることも大切なのです。

 要は、庭づくりを楽しむためには、業者といかに良いパートナーシップがとれるかが大切だということです。景石ひとつの値段を値切ることに全精力を注ぎ込み、それが済むと次は門柱の値段を値切りにかかるというような折衝をしていては、業者だけでなく発注者も疲れてしまいます。せっかくの専門家とのデザイン談義も楽しめないし、業者の側もいい提案をする気持ちがなくなります。できあがった庭が、たとえすばらしいものだったとしても、もっと安くできたのではないか、だまされたのではないかと思うようでは、真の喜びが湧かないと思うのです。また、できあがった庭の良さを理解することより、これだけ値切ってやったという印象だけが残るようでは、後々、業者との良い関係も築けませんよね。

 細かい見積もりの内訳を見ても、それぞれの値段が妥当かどうかなんて、そういう仕事に携わっていないとなかなかわかりません。既製品でもメーカーからの仕入値は不明ですし、手間賃や運賃、さまざまな経費などが書いてあっても相場を知らなければ意味がありません。建築にしろ庭園工事にしろ、資材の値段は流動的ですし、職人さんの腕の良し悪しや段取りによっても単価が変わりますし、工事関係者は錯綜しています。ひとつひとつが人間の手づくりである点、世の中に同じものはないというのが、他の商品と違う点です。工場で完成された新車が納品されるのと仕組みが違うのです。



同条件で見積もる

 妥当な価格を知るためには、複数の業者の見積もりを比較するしかありません。そのときは、各社とも同じ条件にすることが必要です。つまり同じもの、同じ設計で同じ工期です。そうしなければ金額の比較はできません。木や景石は標準的な寸法で指定します。また、A社が描いた図面をB社に持ち込むのはルール違反です。それではA社の設計費用とそれまでの経費がB社には不要だからです。それに、もしA社との打ち合わせで自分の庭のイメージが確かなものになったのなら、そのアドバイス料はA社に支払うべきものですよね。さらに言うとA社の設計図には著作権があります。ですから、この場合はそういった経費をA社に支払うものとしてA社の見積もり金額から差し引き、純粋工事費分だけでB社と比較しないと公平ではありません。

 設計は設計事務所に頼み、その図面で数社から見積もりをとるという場合は単純です。既製品を取り付けたいだけというときはもっと簡単です。カタログを示して、見積もりをとればいいわけですから。


 大切なことは値段だけを問題にするより、いい庭を妥当な価格でつくるためには、腕のいい良心的な専門家と信頼関係をつくり、活用し、ともに喜ぶ姿勢が大切なのです。普段からお店を覗いて教えてもらったりできる関係があれば最高ですね。



このメッセージは
この本に掲載されています。

書名 自分流に愉しむ「気まま」な庭づくり
著者 清水光次
定価 本体価格 1500円  A5版192ページ
初版 2002.8.1 現在第2版販売中
目次 目次は下記を参照してください(立ち読みはこちらから)
発行 株式会社 メタ・ブレーン
http://www.web-japan.to
紹介 メタ・ブレーンでの紹介ページ
http://www.web-japan.to/book/review_niwa.htm
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