message テーマ5 木と草花を楽しむ 草五 身近な草花でつくる風景 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
花にも流行りすたりがあって、ブームのものは大量につくられるため、価格も安く手に入れることができます。結果として、どのお宅の庭先にも同じ花が咲いているということになります。 では、身近なところにすてきな野草の花が咲いていたら、それらを庭にとり込んでみるのはどうでしょうか。とくにナチュラルイメージで庭をつくろうと思っている人は、すべてを園芸植物で埋め尽くす必要はないですよね。 「ようお越し」 庭の芝生にクローバーが出てきたとします。抜いてしまいますか。それとも残しておきますか。 ゴルフ場のグリーンのような完璧な芝生の庭を目指しておられるのなら、抜いてしまうでしょう。でも、もう少しワイルドでも良いとお考えなら、残しておくこともあるでしょう。シロツメクサは踏み圧には耐えられませんが、大きなコロニーをつくると案外きれいなものです。種さえ売っていますよ。 あるいはタンポポならどうしますか。自ら出てきた植物を「ようお越し」と喜んで受け入れる庭づくりも心豊かな庭ですよね。 造園業者が管理を受注している公園やマンション、オフィスビルの雑草とりをするときは、うむを言わさず機械的に抜いてしまいます。仕事ですから。 設計者が、クローバーやススキが出てきたときには抜かずにおいてほしいと言っても、たいがいは聞き入れてくれません。オーナーに受注業務の手を抜いていると見られるのが困るからです。 とはいっても、セイダカアワダチソウやエノコロ草などはやはり駆逐するべきでしょう。偽善的なナチュラル指向は好きではありません。 ただ、なんらかのめぐりあわせで庭に出てきた植物を、雑草だからといって神経質に目くじらを立てて抜いてしまうのではなく、少し踏みとどまって考えてみたいと思うのです。庭のデザインのキーワードを「なじみの景をいかに自然に格好良くつくるか」というように考えることもできるのです。地域の植生の本家である身近な植物にも目を向ける気持ちをもちましょう。 植えてみたい野草 自然に出てくるのを待つのではなく、こちらから植えてやることも考えましょう。 例えば、シロツメクサ、ススキ、タンポポ、レンゲ、ツユクサ、ヒルガオ、ノイチゴ、ヘビイチゴ、ユキノシタ、ドクダミ、ヒガンバナ、などはどうでしょう。シダ類もいいですよね。庭にフキがあれば楽しい気分になりませんか。スイカズラやアケビもいいと思います。 自然の中から、少しだけ種や挿し穂をもらってきましょう。なにも山に行かなくても、近くの空き地や公園や河原にいくらでもあるものもあります。それに、このごろは植物の好みの多様化に対応して、いろいろな野草の(草物盆栽用のものではない)苗や種も売られています。溜池にいくらでもあるホテイアオイさえも売られていますよね。 原風景をつくる 「あなたの原風景はどんなところですか」と聞くと、ほとんどの人が、農村の裏山や小川の脇のかつて普通に見られた風景だと答えるそうです。若い回答者でも同じだそうですよ。 実際に目にして育ったのではなくても、日本人にとって懐かしい思いのする風景なのでしょう。私たちの小さな庭では、密度高く見所を用意することが必要になり、結果として鮮やかな花色の大輪の園芸品種が幅をきかせることになります。しかし、庭の中に小さなスペースであっても、なじみの風景のコーナーがあってもいいかなと思いませんか。ナチュラル系の庭づくりをするときは、なおさらですよね。 もっと親しみをもって身のまわりの自然を眺め、庭に対する感性を整え、そして、元来その地域の気候や風土に合わせて生きている草花にも目を向けたいものです。 このメッセージは この本に掲載されています。
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