message  テーマ1 常識を疑う    常八  こだわりと素材感
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集


 「色」や「形」と同様に重要なものとして「素材感」があります。素材感はテクスチャー(物の手触り)や本物感と密接に関係します。庭の構成要素を選択するときに、その物のもつ素材感にも注意を払うことが重要です。



いろいろな素材

 庭の素材は木、石、コンクリート、レンガ、陶製品が中心ですが、これ以外にも鉄、鋳物、アルミ、ステンレスなどの金属、瓦、磁器、ガラス、アクリルやプラスチックなどもあります。一度、その気になって庭を見渡してみてください。今までこんなものだという目で見ていて気にもとめていなかったものに、違和感のある素材が使われていませんか。
 家の中も見てください。嘘くさい建材の代表格はビニールクロスですね。織物風、漆喰塗り風、果てはコンクリート打ち放し風まであります。また、中身はアルミなのに、木目をプリントしたシートを貼り付けた建具や家具は定番です。まるでむくの木材に見せた突き板仕上げの建具や、コンマ数ミリの薄い木の板を張ったフローリングなど、挙げればきりがありません。というより、そのようなものばかりに囲まれているのが今の一般的な住宅です。建物の外壁にも同じことが言えます。タイル風、レンガ積み風とか。それぞれは理由(加工が容易、価格が安い、品質が一定、断熱性、遮音性、強度が高いなど)があって使われている材料なのですが、表面的には別のものに見せようとすることで、偽物だという印象が生じているのですね。
 その騙しが完璧なら許すこともできるでしょう。ところが騙しおおせないような代物が多いのです。しかし、そういうものでも見慣れてしまうと、これはこんなものだ、という気になってしまうから恐ろしいですね。



造園の偽素材

 さて、嘘っぱちの材料は何も建築素材だけではありません。見栄えは重要視するけれどもコストと手間はかけたくないという風潮のなかで、造園材料にもこのようなものが広まってきました。
木目模様がプリントされたアルミ製の手すりや樹脂製の鉢置き台。レンガ風のコンクリートブロック。その最たるものはテラコッタ風のプラスチック鉢。軽くて丈夫で価格も安いですから、蔓延するのはわかりますが、好きになれません。
 金属材料ではアルミが多く使われていますが、その塗装色がブラウン系のものがいまだに多いですね。できるだけアルミに見えないようにしてまわりになじませる、という意図が見えて、たちまち安物の印象になってしまいます。同じ物でも、シルバー系の方が潔くその素材の本来の表情を表わしていると思いませんか。それから、鉄の鋳物風のアルミ門扉。格式ある門扉には開くときの重量感が大切だというので、そういうデザインを選ばれたのでしょう。なのに、びっくりするくらい軽々と開いて、なんだ見かけだけか、とがっかりします。

 庭づくりは楽しみでするものです。趣味でするものです。趣味ならこだわりをもっと追求しましょうよ。明らかな偽物を使ってこだわりが表現できますか。そのようなものを絶対に使ってはいけないとは言いません。合理的に考えて使わざるを得ないこともあるでしょう。でも自分なりに納得できることが前提ではないでしょうか。
 庭での好ましい素材感とはどういうものでしょう。一番に挙げられるのは自然素材。ただし庭にもいろいろあって、緑がいっぱいのありきたりの自然らしさを排除し、人工的なデザインで構成したい庭もあるでしょう。あるいは自然らしさと人工的なものとの組み合わせの妙を楽しみたい庭もあるでしょう。むしろ自然素材のみでつくるのは難しく、人工的なものも採用せざるを得ないという現状で、庭の事物の素材感をどう考えたらいいでしょうか。



テイストの統一感

 先に「建物と庭のイメージを合わせて」という考え方に異論を唱えました。ここでは言い方を変えましょう。重要なことは「見かけ」ではなくて、「住まい方のセンス」です。みなさんのお宅では、住まい方のセンスがインテリアデザインに表われていることでしょう。ですから、あくまで建物と庭のイメージを合わせるとしたら、家の中のインテリアと庭のデザインイメージを合わせることが本来の方向ではないでしょうか。それが住む人の感性を表現するということなのですから。部屋の中と庭の雰囲気にまったく脈絡がないということは考えにくいですよね。「部屋と庭が一体となった」などというのは、物理的な連続性だけでなく、住む人の好きなデザインテイストの連続性のことも含まれていると思うのです。



もっと素材感を出す

 そうだとすると、庭を完全に自然素材のみで構成する、ということにはなりそうにありません。木材も丸太のままではなくて製材されたきれいな表面のものを使うでしょうし、金属材料も出てくるでしょう。ガラスも出てくるかもしれません。そのときに、先に述べたような「まがい物」の見せかけをしないで、素材そのものの美しさを活かしたものにしたいと思うのです。
 例えば木材なら、木目を隠蔽してしまう塗装はしない。ペンキではなくて透明感のある塗装。色はお好み次第ですが、木目を見せて木であることを隠さないことです。金属も同様です。金属はその独特の輝きを表面に表わし、別のものに見せかけることはしないでおきたいのです。例えばステンレスとアルミとは一見すると似ているようですが、素材感はまったく違います。重みや硬さ、輝きが比べものになりません。ナチュラルな庭に、鏡面仕上げのステンレスの睡蓮鉢が置いてあるなんて、粋だとは思いませんか。
 余談めきますが、アルミの手すりなどが安物に見えるのは、中空のパイプだからです。強度は充分でも、中身が詰まっていない厚みのないパイプだと脳にインプットされているからです。



このメッセージは
この本に掲載されています。

書名 自分流に愉しむ「気まま」な庭づくり
著者 清水光次
定価 本体価格 1500円  A5版192ページ
初版 2002.8.1 現在第2版販売中
目次 目次は下記を参照してください(立ち読みはこちらから)
発行 株式会社 メタ・ブレーン
http://www.web-japan.to
紹介 メタ・ブレーンでの紹介ページ
http://www.web-japan.to/book/review_niwa.htm
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