message テーマ2 想像力をふくらませる 創十二 光庭 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
テーマは「光庭」。ひかりにわ。読んで字のごとく、光の庭。建築で使う言葉です。例えば、五階建てのマンションだとして、建物の外周が全部バルコニーになっていて、建物の中央部にある階段や玄関まわりが暗いときに、吹き抜けをとったりします。その吹き抜けは天空の光をとり入れるためのものですね。そして、その吹き抜けの底が、「光庭」といわれる庭です。 しかし、庭といっても、光庭ではほとんどの場合は植物が植わっているわけではありません。もともと暗い場所ですし、そういう建て方をするくらいですから敷地に余裕があるわけでもありません。草木を植える庭という概念はありません。たいていは、狭い井戸の底のような空間。それでも天空の光の力は絶大で、ひと息つける空間になるわけです。何もないときもありますが、椅子が置いてあったり、ファウンテンがしつらえてあったりします。場合によっては石庭だったりします。 壁面も床面も、白い色で仕上げられていることがほとんどです。光を反射する白っぽい色。白いタイルと白い家具。壁や床が黒い色では、光庭になりません。黒は光を吸収する色ですからね。個人的印象かもしれませんが、クール系の白よりウォーム系の白の方が、日の光を最大限素直にとり入れたい光庭にはふさわしいように思います。 ロの字型の家 私の知人が新潟に住んでいますが、その家の形はまさしくロの字型。中央の正方形に開いたところが庭。何の木か忘れましたが、植栽がありました。すべての部屋がその庭に向かって開いているのです。というより、家の中にガラスの太い筒が差し込まれているとでも言いましょうか。もちろん眺めるための庭であり、庭を見ながら部屋から部屋をまわってぐるりと一周できます。しかし私は、その庭はむしろ日の光を家中にとり込むための庭だと思いました。まさしく光庭なのです。ずいぶん前に訪問したきりなのですが、窓から外の景色を見た記憶がありません。それほどあの中庭の印象が強かったのです。 庭で何を感じるのか、何を楽しむのか、何を大事にしたいのか、というとき、ひとつの答えは自然ですよね。自然というとき、それを草や花や木に託してということが多いでしょう。それから、風の匂いや日の光のきらめきで自然を感じるということも多いでしょう。 単純に中庭といっても、活動的な意味合いのあるパティオや、芸術的に締まった自然美をつくりあげた坪庭もあるし、母屋と離れの空間的な緩衝地帯としての通り庭もあるでしょう。そういった庭を、「光庭」として捉えてつくることもできるのです。家中に日の光の明るさをもち込む装置です。直射日光を入れるということではありません。欲しいのは、日の光の明るさです。そして大気と、天空と繋がっているという喜びです。いや、失礼。少々大層な言葉でしたね。空が見える安心感と言い直しておきましょう。 このメッセージは この本に掲載されています。
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