message テーマ3 深く突きつめて考える 考三 バブルダイヤグラムの功罪 | ||||||||||||||||||||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||||||||||||||||||||
骨格と地模様の項では、機能をゾーンとしてレイアウトする、ということでしたが、ここでは逆にその方法の功罪と別の方法の提案をします。 バブルダイヤグラムとは バブルダイヤグラムなどと、普段はこんな小難しい言い方はしません。しかし、レイアウト図、ゾーニング図、概念図といってもいろいろな種類があるので、ここではバブルダイヤグラムと言っておきます。 一九〇〇年代前半に、アメリカのカリフォルニアで始まったモダンなガーデンデザインの流れがあります。個人住宅のバックヤード(主庭のこと)がデザインの世界の中心となり、それまでのヨーロッパ的なシンメトリーとアイストップといった整形庭園手法から、自由な線を使うデザインがされるようになったのです。そのときのデザイン手法がバブルダイヤグラムと言われていたものです。直訳してみてください。泡のようにたくさんの「丸」(機能を表わす)とそれらをつなぐ「線」。みなさんも目にされたことがあるでしょう。このあたりがテラスで、ここには花壇で、といって二つの丸を描いて線で結ぶ、というアレです。この手法とは、クライアント(発注者)の求める庭の機能を記号の丸としてプロットし、それを動線で結んでいくという手法です。いわば機能のレイアウトを概念として描き、次にレイアウトされたゾーンに形を与えていくわけです。 この手法は日本にも広まり、今でも一般的に使われています。ゾーニング図と言ったり、骨格図と言ったり、単に概念図と言ったりします。これの利点はわかりやすい、考えやすいということに尽きます。クライアントの望む機能が多岐に渡っても、それらを整合のとれた形で盛り込む方法を考えるときに最適の方法です。 ただ、わかりやすいということは、逆に説明しやすいとも言えるわけです。悪く言えば、設計者がクライアントに説明するときに、考えたレイアウトを正当化する、あるいは考えていない場合も整理されたように見える、つまりなんとかなる最適の方法だとも言えます。 表しきれない部分 注意しなくてはならないのは、機能を割り当てられたゾーンを表わす丸以外の、余白のようなところをどうするかということです。ここは、大抵は植栽ゾーンということになり、背景となる灌木で適宜「埋める」ことになります。実は小さな庭の場合は、このあいまいになりがちな余白部分こそが、景をつくる重要な部分になるにもかかわらず、「機能のない余り」としての位置付けでしかないことが問題なのです。植物を育てることや花に囲まれてくつろぐといった楽しみ方をするのなら、そういった「余白部分」も重視しないと失敗しますよね。余白部分というより、実はとても大切な部分なのです。 庭の景から考える 大雑把なゾーニング図を描いて、求める機能がそれなりに落ち着いたと思ったときに、平面的思考だけでなく、図面の中のその場所に立ったつもりでまわりを見渡してみましょう。眺めはどうイメージされますか。何かをする機能の繋がりだけでゾーニングを考えてはいけません。つまり、機能を並べるという発想ではなく、シーンを想定しながら立面的に組み合わせる発想が大切だということです。 ストレートに庭の景から考えてみましょう。見る視点をいくつか決めて、立面的にどう見えたら格好良いか、ということから考えるのです。正面イメージ優先検討法とでも言いましょうか。ぜひスケッチを描いてみてください。手前に何が見えて、後ろに何が見えて背景はこんなふうにして、その間には、というように。イメージ写真がたくさん氾濫しているので、平面のレイアウトを先に考えるより、この方がむしろ容易かもしれません。その立面スケッチを今度は平面の上に描き写します。平面に落としてみるときにはダイヤグラムの丸ではなく、具体的な「もの」としてです。最初にイメージができているので、具体的にどんな園路とか、どんなデッキとか、何の木とか、というように描いていけますね。 このメッセージは この本に掲載されています。
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