message 「庭作りのポイント」編  … 緩やかな曲線
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集


 「緩やかな曲線を描いた植栽エリアがどうのこうの」ってコピーがありますが、この緩やかな曲線って何でしょう。

 このコピーを使った人は、優しさとか女性らしさとか、自然らしさを表現したかったのでしょうが、なんだか変だし、あまりに表現として擦り切れていますよね。

 ずいぶん前になりますが、庭のデザインを考えるときに、パターンとして楽しもうと言いました。庭の各エリアを平面図として落とし込むときに、パターンとして美しいことが大切だって。完璧なシンメトリー(左右対称)でないなら、どうずらすのかということに大いに悩み(楽しみ)ましょうって。


                 * *


 例えばですね、人の顔の写真(ポートレイト)を撮るとします。その人が向かって少し右を向いているとします。

 では、画面のどちら側にその人をずらして撮りますか。

 そう、左にずらして撮るといいのですね。すると、その人の視線が向いている右側に余白ができて、バランスがいいのですね。



 例2。例えば、人が左前方に歩いている斜め後姿の写真を撮るとします。

 人を右側に寄せますか、左側に寄せますか。右側に寄せて、歩いていく人の前方の背景をたくさん見せると、その人の未来(明るいものであれ暗いものであれ)を予感させるし、逆に左に寄せて後方の背景をたくさん見せるとその人の過去を意識させませんか。あくまで「感じ」ですよ。



 例えが悪かったですね。分かりにくかったですね。

 つまり、「間」がとても大事だということです。
 曲線を使うと、いたるところ「間」だらけになります。



 四角の庭を一本の線で二つの場所に区切るとします。直線で垂直に区切ると、バランスは大事ですが、「間」はひとつです。つまり広い方の四角の外側のエリア。斜めの直線で区切ると、三角形や台形ができますから、いくつかの「間」ができます。では、曲線で区切るとどうなるでしょう。それも「緩やかな曲線」で。もう、全体が「間」だらけですね。


  「間」の取り方はとても難しいものです。紙の上に、あなたの庭の四角を書いて曲線でパターン図を描いてみてください。うまくバランスの取れた、それでいて躍動感がある図が書けましたか。うまく書けても、それは紙の上でのこと。実際の庭は、立体的ですし、真上から見るものでもありません。曲線を使って庭のデザインをするのはとても難しいのです。


 でも、曲線を使ってデザインすることは安易でもあります。逆のことを言っているわけではありませんよ。美しくなくても、それなりに見えてしまうという意味です。ごまかしが効くということ。


                 * *


 個人住宅の小さな庭をパターンとしてデザインするとき、直線主体で行くのか曲線を多用するのかということは、好き嫌いでいいのですが、さまになりやすいのは、直線主体でところどころ重要な部分に美しい曲線を入れるという手法です。
(もちろん、構成する要素が多いときのことです。全体が雑木の庭っていうときには、こんなことは必要ありません) 

 建物に直角の線と斜めの線、そしてその間にきれいな曲線が絡むという感じ。シャープでおしゃれな感じになります。



 冒頭に言った、「緩やかな曲線を描いた植栽エリアがどうのこうの」ってコピーに違和感があるのは、曲線を使ったからっていって、素敵な庭じゃないだろ、っていう気がするからでした。

 悪口ではないですよ。


 曲線=よい
 直線=悪い
 曲線=自然
 直線=都会的
 曲線=センスがいい
 直線=考えていない
 曲線=美しい
 直線=寂しい

 というような間違った、紋切り型の印象を払拭したかったのです。安直に曲線を使ったら、いいデザインにはならないよ、よほど上手に使わないとねってことを言いたかったのです。





 今回は、放っておいてくれ! とか、言っている意味が今ひとつ分からん! というメールが殺到しそうですね。





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