実践編 大阪の新しい庭園紹介
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集


実践編 大阪の新しい庭園紹介


 さて、今回は大阪と京都にできた新しい庭の報告をする。

 大阪のミナミ、かつての南海ホークスの本拠地大阪球場の跡地にできた「なんばパークス」。ファッションやレストランの入った商業ビルだが、大きくは二頭の建物でできていて、その間がプロムナードになっている。そして注目は屋上。階段状の屋上がすべて庭園になっていて、それに面して素敵なレストランがオープンテラスを出しているというもの。いわば、サンジエゴのホートンプラザとイメージとしての空中庭園が合体したような感じ。

 一言で言うと、とてもよくできている。やられた!という印象。
 金かけすぎとちがうん?とも思ってしまうが、立派な木がこれでもかというほどビルの屋上、いや、空中に植えられているのだ。あれだけの木を植えようとすれば、それなりの土厚がいるだろうし、軽量土を使用して入るのだろうが、それでも途方もない加重になっていることだろう。金をかけたんだろうというのは、庭そのものより庭を作るための構造体、つまりコンクリート量や鉄骨の量に金をかけているのだ。

 実は私もそういう経験をした。
 大阪の新梅田シティ。中自然の庭という庭園がある。
 あれは地下の駐車場の上。でも、来てくれた人はそういうことに気がつかない。あの庭を造るのに、ン十億円かかったんだと言えば、誰もがびっくりするが、それは目に見えない地下部分の構造体がとてつもなくごついのだ。都心部でそれなりの広さの庭を造ろうとすれば、どうしても立体的に何かの上に乗せることになる。そこに大きな木でも植えようという企画になれば、担当者はそのコストパフォーマンスの悪さに悩まされることになってしまうのだ。そういう意味で、難波パークスの担当者殿、よくぞこだわりぬいてくれたと喝采を送りたい。


 で、その庭。先にも述べたように、階段状になっていることが、効果を高めている。つまり小さなスペースの庭がたくさん集まって、空に浮かぶ大きな緑の空間になっている。それぞれの小さな庭は、少しずつ演出の主題が違う。ここは花が中心、ここはせせらぎとウッドデッキ。ここはロックガーデンというように。それぞれの庭のテイストは同じだが、ちょっとしたシーンの変化がおもしろい。一応は全部見ておこうという気にさせてくれる。


 この近くに、少し前に関西で、屋上庭園として新聞などでさかんに紹介されたOCATがある。ここは有料だ。100円。難波パークスの大賑わいと比べると、閑散。それに、手入れも行き届いておらず、見所もない。単にビルの屋上の空調機なんかの横に芝生のスペースを作ってなんとなく洋風の庭を作りました、というもの。寂しい。難波パークスに比べるとなんとも見劣りがする。閑散として、入場料を受け取る係りの女性が気の毒になる。

 が、あなどるなかれ。ここにも愛好家はいる。雑踏から離れてゆっくり空の下で昼寝したい、風に吹かれながら日の光の下で本をゆっくり読みたいという人はいるのだ。都心の繁華街の中では貴重な空間なのだ。中年の女性が芝生の前にぽつんと置かれたベンチで、静かに話をしている。半径15メートル圏には誰もいない。中年の男性数人が花壇のそばのガーデンチェアで文庫本を読んでいる。静かだ。


 なんばパークスが商業空間のディスプレイ的庭だとすれば、OCATはなごみの庭なのだ。なんばパークスがみんなと一緒に見てまわって楽しむ庭なら、OCATは庭という空間の中にいて何かをして楽しむ庭なのだ。なんばパークスがお金をかければこういうこともできるんだよという実験なら、OCATは大胆な庭でなくても気持いい空間は作れるんだよという証明なのだ。


で、どっちがいいって? さあ、どうだろ。


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