鳥の声 | ||||||
一級建築士・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナーの庭づくり講座/ガーデニングデザインメッセージ集 | ||||||
先日、友人たちと滋賀県の蓬莱山という山に登った。本来なら琵琶湖が眼下に見え、それはそれは気持ちのいいトレッキングのはずだが、あいにくの曇り空。曇り空というより雲の中。視界は、そう、50メートルくらい。くま笹の葉も濡れて、ズボンの裾もたちまちぐっしょり。 でも静かだ。 ウグイスの声だけが聞こえている。 すぐ近くの笹薮の中で突然の声が響き渡った、と思えば、ケキョ、ケキョと啼きながら遠くに飛んでいく。その日一日、何回その声を聞いただろう。千回? 二千回? 隈笹しか生えていない尾根筋から、谷筋に入ると植生がごろっと変わる。ブナの大木がちらほら見える林の中。ウグイスの声に混じってシジュウカラの声も加わった。ツツピー、ツツピー。 気持ちがいい。 白い世界の中に輪郭のぼやけた木々が静かにたたずんでいる。空気は湿り気を帯びて、木々の肌も黒々としている。そこにこだまする鳥たちの声、声、声。 一緒に来なかった家族にこの場の雰囲気をどう伝えたらいいだろう。写真には、白い背景にかすれた影が写っているだけ。静けさや鳥たちの声は想像するしかない。 庭にも、いろいろな音が満ちている。耳をすまそう。 鳥、虫、木々や草の葉、風、水、いろいろなものがかすかな音をたてている。想像を逞しくしよう。小さな花が開くとき、どんな音をたてているのだろう。アジサイが土中の水分を吸い上げ体全体に水分をいきわたらせているとき、どんな音がしているのだろう。 |
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